|  斜めに置いたスピーカーでもカイザーゲージで調整可能か? | 
								
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									| ハイエンドショーで”カイザーゲージ”の使い方を説明している時に、『私も持っているのですが、今ひとつ正しい使い方が理解出来ないので、一緒にお話を伺っても構いませんか?』と言って来られた方がいました。
 
 『ローゼンクランツのインシュレーターは、BABY(E)Uと、COUSINUを最近買いました』。『その効果はビックリするほどで、相当音が良くなりました』と満足そうです。
 
 『スピーカーを斜めに置いているのですが、そんな場合でもカイザーゲージで音を調整出来るのですか?』。
 
 「出来なくもありませんが、それはちょっと難し過ぎるので、今回は割安料金で私がクリニックにお伺いしましょうか?」。
 
 『じゃ、お願い出来ますか?』
 
 そんなやり取りがきっかけの訪問となりました。
 
 
 
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									|  不自然な捻れて歪んだ音 | 
								
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									| 上野の小高い丘の上にある出来たばかりの1DKマンションです。ステレオを置いてある部屋は6畳です。ベランダに繋がる掃き出し窓のある短辺側にスピーカーとオーディオラックが置かれてあります。
 
 
 左のスピーカーはラックに押しやられるように隅で窮屈そうです。また、右のスピーカーはというと、これまた配管の為なのか角に変な出っ張りがあるので、左のスピーカーに比べて明らかに50センチは前に出ています。それも左は正対しているのに、右は大きく内に振ってあります。
 
 
 「何はともあれ現状の音を聴かせて下さい」
 
 「この音で何とも無いですか?」
 
 『うう・・・ん』
 
 ちょっと、返答に窮してるようでした。
 
 音が歪んでいて、首が捻れそうで気持ち悪くなってきました。
 
 「良くこの音で耐えられますね」
 (心の中でつぶやきながら・・・)
 
 「ごめんなさいね、キツイ言い方に聞こえるかもしれませんが、この後に素晴らしい音をご案内出来るからこその言葉なのです」。
 
 決して、人前ではこうした無神経な言い方はしませんが、クリニックにお伺いした時だけは、他に誰もいない一対一ですから、事実であり真実をお話しする事がご本人の為だと思っています。
 
 
 
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									|  思い切った模様替えの提案 | 
								
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									| 「現状の配置の中では精一杯やったとしても、大きな音の向上は見込み難いですから、思い切ってスピーカーを広い壁面のこちらに移して、大胆に模様替えしませんか?」。
 
 「全く別物のように音が良くなりますよ!」。
 
 「当初のご予算より少し頂くようになりますけど・・・」。
 
 「今日私がクリニックにお伺いした機会を充分に活用する意味でも、そうなさったら如何でしょう?」。
 
 「2チャンネルも、5.1チャンンルもどちらも良くなりますから」。
 
 『遅くなっても大丈夫なんでしょうか?』
 
 「大丈夫ですよ!、これぐらいの事でしたら1時間もあったら充分ですから」。
 
 夜の7時半頃から始めたクリニックだったものですから、Y.Kさんは時間を気にされていたようです。
 
 
 
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									|  クリニックの経過 | 
								
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									| 最初にラックの左右の位置決めだけをし、その後、電源系をメインに気になる配線の組み換えを行ないました。極性のチェック、タップに繋ぐ機器の配列バランス等・・・。
 
 最終的に全ての配線を終えたことを確認してから、ラックを壁面方向に寄せる形で最適化を計ります。こうして機器の核となる配置がデンと決まると、スピーカーの適正ポジションが自ずと見えてくるものです。
 
 スピーカーベースがちょっと軟なので、使うか、外すかの判断に随分迷いましたが、どちらでも音は同じ程度作れそうなので使う事に決めました。
 
 ただ、生け花用の剣山を逆さまにし、その上にぶつ切りインゴットの真鍮を、更にその上にインシュレーターを載せているのは頂けないので、純正のスパイクにBABY(E)Uをその受けとしてシンプルにしました。
 
 
 スピーカーの足元を確実に決めたこの時点で、音のイメージがシッカリと見えてきました。こうなったらスピーカーセッティングはスイスイとはかどります。
 
 前と後ろの壁面が平行面を持っていますので、「倍音乗せカイザーセッティング」の効果が面白いようにクッキリと顕著に現れます。
 
 
 
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									|  バンダースティーン”は音場型スピーカーの魁 | 
								
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									| 元々”バンダースティーン”はダイナミック型でありながら、音場展開の優れたスピーカーですから、あるべき本来の長所や魅力が発揮されます。
 
 同じような構造と理論の”マーリン”のスピーカーと並んで、今のハイエンドスピーカーの走りとなった優秀なスピーカーなのです。
 
 その両者の最大の類似点は、天板の前側半分の開放構造にあります。それは、高さ方向への音の拡がりを狙った独特のものです。
 
 
 
 
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									|  スピーカーセッティングに要した時間は10分ほど | 
								
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									| カイザーゲージの使い方から話が進んだ今回のクリニックでしたが、ゲージは一度も使わずじまいでした。左下の写真が、私が提案した模様替え後のレイアウトです。
 
 右下の写真はリアースピーカーとの位置関係です。部屋もうんと広く使えるようになりました。特にベランダへの出入りは、大きな窓一枚分以上のスペースが取れました。
 
 
 「もう大丈夫ですから色々なディスクをかけてテストしてみて下さい」
 
 『こうも変わるものですか!?』
 
 『信じられないほど良くなりました』
 
 「ちなみにスピーカーを背にして聴いてみて下さい」
 
 「スピーカーに向って聴く時の音とほとんど変わらない美しい響きの音で聴けるはずです」
 
 今回の費用対効果は大変高かったです。
 
 クリニック後にいつも思うことですが、良くないコンディションの方が何と多いことか・・・。
 
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